井戸ポンプが止まらない、あるいは短時間でON–OFFを繰り返す(短サイクル)症状は、圧力スイッチの設定ズレ/不良と、圧力タンク(隔膜タンク)のエア不足・隔膜破れが主因になることが多い。診断は「安全確保→現状値の採取→隔離テスト→調整→再試験」の順で進める。まずブレーカーを切り、吐出側の圧を抜いてから作業する。次に圧力計を見ながら通常運転し、ポンプが起動する圧(カットイン)と停止する圧(カットアウト)を実測する。一般的な家庭用では例としてカットイン0.15〜0.20MPa、カットアウト0.25〜0.30MPa程度が多いが、実機は銘板や取説の推奨値を優先する。カットインとカットアウトの差(ヒステリシス)が極端に狭い、あるいはカットアウトまで到達しないなら、調整または原因切り分けに入る。圧力タンクの点検は最優先だ。ブレーカーOFF→吐出側のドレンで“完全に”水を抜く→タンク上部のエアバルブ(自転車バルブと同形)にエアゲージを当て、事前充填圧を測る。適正値は「カットイン圧より10〜20kPa低め」。例えばカットイン0.18MPaならタンク事前圧は0.16〜0.17MPaが目安。低すぎれば空気を補充し、高すぎれば放気する。バルブから水が出る・エアが全く入らない場合は隔膜破れ(ウォーターログ)で、短サイクルの典型原因となるためタンク交換が近道。エア再充填後は系内を満水に戻して試運転し、サイクルが安定するかを確認する。圧力スイッチの調整は、内部の大/小2本のスプリングで行うのが一般的だ。大スプリング:全体(カットイン/カットアウト両方)を同方向に移動させる。小スプリング:両者の差(ヒステリシス)を広げたり狭めたりする。基本は「大で狙いのカットインに合わせ、小で差を0.08〜0.12MPa程度に確保」。差が小さすぎると短サイクルになり、差が大きすぎると蛇口の圧変動が大きくなる。調整は“少し回して→運転で値を確認”を繰り返し、接点の焼けや圧力導管(細いチューブ)の目詰まりがあれば清掃・交換を併せて行う。止まらない症状(いつまでも回り続ける)の場合は、まず圧力計の針がカットアウト手前で頭打ちになっていないかを見る。頭打ちなら、吐出側の微小漏水(トイレ給水弁のにじみ、屋外蛇口の閉め不良)、逆止弁の逆流、圧力スイッチの配管詰まり、ポンプ側の吐出不足(インペラ摩耗・吸込エア混入)が疑わしい。家中の元バルブを閉じて“ポンプ直後のボールバルブだけ開”にする隔離テストを行い、閉じた状態でも圧が上がらないならポンプ〜スイッチ周りが原因、閉じると停止できるなら宅内側の漏れが原因と切り分けられる。停止後に無使用でも数分で再起動するなら、逆止弁(チャッキ/フート)の漏れで圧が自然降下している可能性が高い。短サイクルの再発を防ぐには、圧力設定とタンクだけでなく“水力条件”も整える。吸込側に空気が混入すると、吐出量が不安定になって圧が上がり切らず、スイッチが頻繁に作動する。呼び水栓・点検プラグのOリング劣化、吸込継手のシール不足、ストレーナ詰まり、静水位の低下による渦吸い込みなどを順に解消し、吸込配管は「短く・太く・緩やかな上り勾配」を徹底する。深井戸ジェット(二本配管)はノズル/ベンチュリの清掃と配管の気密回復が効く。点検のコツは、①事前圧の最適化(カットイン−10〜20kPa)→②ヒステリシス0.08〜0.12MPa確保→③隔離テストで漏れ源特定→④逆止弁・圧力導管の清掃/交換→⑤吸込条件の是正、の順で“片付けていく”こと。作業上の注意は、必ず停電・減圧・残圧ゼロ化を確認すること、スイッチ調整は通電中に手を差し入れないこと、タンクのエア充填は水抜き完了が前提であること。インバータ定圧タイプは別制御のため、圧力スイッチ調整の前に取説の設定手順に従う。これらを守って調整すれば、多くの「止まらない」「頻繁にON–OFFする」不具合は現場で安定化できる。なお緊急対応や地域相場を素早く把握したい場合は「井戸ポンプ修理 吹田市」で近隣拠点・夜間対応・出動時間の目安を確認し、到着前に圧力設定値や再現症状のメモ、現場写真を用意しておくと復旧が速い。組み上げ後は起動電流・吐出圧・停止時間を記録し、数日運転で再発がなければ完了と判断する。